確実な遺言を作るには

いざ遺言を書こうと思った際に気になることは、「自分の遺言は確実に実現するのだろうか」ということではないでしょうか。
週刊誌をめくれば、有名人や企業の跡取りが、親の遺言の有効性を争って訴訟を起こした等の記事を見ることがあります。
中には遺言が無効とされるものもあり、それを見て遺言の確実性に不安を感じる方もいらっしゃると思います。
確実な遺言を求めるなら、まずは、どのような遺言が無効になるのかを知る必要があります。
法定の要件を満たさない遺言は無効
あなたが残される家族のために心を込めた遺言を残したとしても、法定の要件を満たしていなければ遺言は無効なものになってしまいます。
例えば、最近の判例で、押印に代わり花押(かおう)というサインをした遺言が無効であるという判断が下されました。
本人は押印に代わる有効なものだと思っていたとしても、周りがそう判断するとは限らないのです。
他にも、日付を「吉日」と書いたもの、ビデオテープや音声で遺言内容を残したもの、夫婦が一緒に書いた共同遺言など、法定の要件を満たさずに無効とされる遺言は意外に多く存在するのです。
発見されなかった遺言は、内容を実現しようがない
法定の要件を満たした有効な遺言も、見つからなかったらそれまでです。
例えば、故人が生前、机の引き出しを二重底にして、入念に遺言を隠しておいたとします。
これなら存命の間に他人が図らずも遺言を発見してしまうことはないでしょう。
ただし、見つけにくいのは亡くなった後も同様です。
遺族が一通り遺言の捜索をしたとしても、二重底を見破る確率は低いでしょう。
そして、遺言が隠されているとも知らずに遺族が机を処分したら、もはや遺言内容が実現することはないでしょう。
かといって、本棚に堂々と置いておくのは、やはり抵抗があると思います。
遺言の隠し場所を決めるのは、思ったよりも難しいのです。
自分に不利な遺言を見つけた者が、遺言を隠す場合もある
遺言が見つかったとしても、まだ問題は残ります。
見つけた者にとって不利な内容が書かれている場合、その者がそれを破棄、隠蔽してしまうこともないとは言い切れないのです。
遺言を見つけたものは勝手に開封してはならず、ましてや破棄、隠匿などもってのほかです。(破棄隠匿をした者は相続権を失うことになります)
しかし、結果として破棄隠匿がなされてしまったら、遺言内容が分からなくなり実現は不可能になってしまいます。
自筆証書遺言は危険が多い、万全を期すなら公正証書遺言
これらのことは自筆証書遺言でしばしば起こるケースです。
自筆証書遺言とは、遺言を残す人が自ら手書きで残す遺言で、最も手軽な手段ですが、上記のような様々なリスクを抱えることになり、確実な遺言を残せるかと言われれば難しいです。
確実に遺言内容を実現したいのであれば、公正証書遺言によるのが一番です。
公正証書遺言は、遺言内容を公証人に伝え、それを受けて公証人が作成する公文書です。
元検察官、元裁判官である公証人が作る文書には、極めて高い証明力があり、通常であれば公正証書遺言が無効になるということは考えられません。
また、原本が公証役場に保管されますので、遺言が見つからなかったり、破棄隠匿されたりすることはあり得ません。
手数料は必要になりますが、確実な遺言を求めるのであれば、公正証書遺言が最適と言えるでしょう。
ただし、公正証書遺言と言えど、絶対に有効だとは言い切れないのです。
遺言を残す人が意思表示もままならないほどの認知症である場合は、遺言を残す能力(遺言能力)が欠けているとして無効になります。
亡くなる寸前になってドタバタと遺言を残しても、「高齢であったため遺言能力が疑わしい」と訴えられる可能性があるのです。
では、どうすれば遺言能力を疑われずにすむのでしょうか。
答えは簡単です。「早めに」遺言を書けばいいのです。
高齢になって健康状態が悪化してからではなく、元気な内に作るのがポイントです。
遺言は思い立ったが吉日、大切な家族とご自身のために、すぐに行動を開始しましょう。



