公正証書遺言とは
公正証書遺言とは、公証人に嘱託して作る遺言です。まずは事前に遺言の原案を作り、公証役場で公証人と打ち合わせをしておきます。作成期日には証人2人の同席の上で、遺言内容の口頭で述べ、それを受けて公証人が遺言書を仕上げます。
公正証書遺言の4つのメリット
- 遺言の確実性が最も高い
公正証書遺言は公証人が作成する公文書であり、極めて高い証明力があります。よほど高齢で認知症が重度であったりしないかぎり、まず有効な遺言を作ることができます。確実性において公正証書遺言に勝るものはありません。絶対安心の遺言を作りたい方は、公正証書遺言によるべきであるといえるでしょう。
- 遺言書を偽造、破棄できないため、遺産争いが起こりにくい
自筆証書遺言では、相続人が遺言書を偽造したり、こっそり破棄したりすることが不可能ではありません。そのため、遺産分割の段階になって「お前がこっそり偽造したんだろ!」と、相続人同士が疑心暗鬼になり争いが発生してしまうことがあります。その点、公正証書遺言は公証人立ち会いのもとで本人が作らなければならず、偽造はまず不可能です。さらに遺言の原本は公証役場に保管されるので、これを破棄するのも現実的には不可能です。遺言の成立に疑いの余地がないので、相続人が感情的な方向に進むことを抑止してくれます。
- 遺言を確実に発見できる
自筆証書遺言は書いた人が何らかの形で保管するため、その人が亡くなった後、遺族が遺言書の場所を知らず、どうしても発見できないことがあります。一方、公正証書遺言の原本は公証役場に保管されています。遺言を書いた人が亡くなった場合は、公証役場でその人の書いた公正証書遺言が存在するかどうかを無料で検索することができ、これによって確実に発見することができます。
- 検認が不要である
公正証書遺言はその高い証明力によって、家庭裁判所による検認を経る必要がありません。検認とは、遺言の状態を家庭裁判所が確認する手続きです。各種手続きを完了させるまでに約1ヶ月かかりますが、これが不要となることで、登記名義変更や銀行口座の凍結解除などを直ちに実行することが可能となります。
このように、公正証書遺言は極めて強力なメリットを揃えているのですが、その一方で以下の様なデメリットもあります。
公正証書遺言の3つのデメリット
- 費用がかかる
公正証書遺言の最大のデメリットは費用です。例えば、2000万円の財産を持つ人が公正証書遺言を残すとなると、公証人手数料が4万円程度かかります。(遺言の内容により前後します) 原案作成を行政書士などの専門家に依頼するならば、そちらの報酬もかかります。そのため、気軽に遺言を作ってみたいという場合には不向きといえます。
- 変更や撤回をしづらい
遺言の内容を変更したり撤回する場合は、製作時ほどではないですが、やはり手数料が必要です。(同じ公証役場で変更すれば、製作時の1/4の費用。撤回は11000円以下) 変更に伴う事実を証明するために各種書面を集め直す手間もあります。せっかく公正証書遺言を作ったら変更や撤回も公正証書遺言で行いたいところですので、手続き的、費用的に手軽さに欠けるのはデメリットと言えるでしょう。
- 遺言の内容を他者に知られてしまう
公正証書遺言を作るなら、最低でも公証人と2人の証人にその内容を知られます。もちろん、公証人や証人には守秘義務があり、情報を外に漏らすことは決してないのですが、遺言はその人の内面を強く反映したものになるので、それを他者に知られることは多少なりとも抵抗を感じるものです。これもやはりデメリットとなりえるでしょう。



